お金・仲間・愛という人間関係の分類について

2025-12-14

人間関係

t f B! P L

書籍『お金の不安という幻想』を読んだ。

この著者、田内 学氏の書く本は以前から好きで、『お金の向こうに人がいる』や『君のお金は誰のため』は愛読書になっている。

最新作の本書の詳しい内容は読んでもらうとして、今回は個人的に印象に残ったトピックについて書いてみる。

それは人間関係・人と人との協力を、

「愛」「仲間」「お金」

という視点から分類するという試みだ。



人間関係を「愛」「仲間」「お金」から考える

お金による協力

まず「お金」は分かりやすい。

今の資本主義の世の中では、お金を介することで数多くの他人に手伝ってもらえる。お金を払うことで作ったパンを分けてもらえるし、詰まった排水管を修理してもらうこともできる。

一方で、相手の目的はお金である。だからサービスを受けるにはお金を払う必要があるし、「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉も成り立つ。

お金による協力は利己心から成り立っている。それが神の見えざる手となって社会を形成しているのが、資本主義だ。

愛による協力

お金による協力の反対にあるのが、愛による協力だ。

愛による協力は、目的のない利他である。親が子どもに食事を作ったり、妻が夫の看病をしたりするように、見返りを求めない。

一方で、家族や夫婦など、ごく一部の人にしか手伝ってもらえない。人によっては、愛による協力をしてくれる人が誰一人いない、というケースも珍しくないかもしれない。

仲間による協力

そして、お金と愛のちょうど中間にあるのが、仲間による協力だ。

仲間による協力は、他人同士が同じ目的を共有することで、ひとつのグループとして協力できる関係である。

例えばサッカーでは、11人の他人が「勝利」という利己的な目標のために、チームプレーという利他的な行動をする。選挙や町内会も同様で、自分の環境を守るために、同じ目的を持つ他人と結束する。

仲間による協力は、お金による協力ほど軽薄ではなく、一定のつながりの強さがある。

一方で、愛による協力ほど強い絆で結ばれているわけではないが、その代わりに関係は作りやすい。

FIREした後は、仲間による協力を増やす

FIREした後は、この「仲間による協力」を増やしていくのがいいのではないかと思っている。

先日、「仲間による協力」を強く感じた出来事があった。新しく始めたバドミントンで、ダブルスの大会に出てみたことだ。

初心者講座で知り合ったばかりの人と組んだ急ごしらえのチームだったが、「大会での勝利」という共通目的を持ったことで、仲間として実に楽しいひとときを過ごせた。

大会の後は共通目的こそなくなったものの、練習クラブで会うたびに、友達と知人の間のような、程よい距離感の関係性を築いている。

FIRE後にどうやって人間関係を築くか、という課題を感じる人は多いと思うし、自分もその一人だ。そんな時は、共通の目的を持つという「仲間作り」の視点から始めるのも、ひとつの手かもしれない。

さらに言えば、「お金」「仲間」「愛」は、それぞれきれいに区切られているわけではなく、実際はグラデーションだ。

お金から始まった関係が、だんだん仲間になったり、共通目的を持った仲間が、いつの間にか私利私欲なく相手のためを思う愛に変わったりする。

人間関係を「お金・仲間・愛」の三つの視点から捉え、たくさんの人と関わらなくてもいいから、少数の関わりの中で仲間をつくり、だんだん愛に近づけていく。

これが、自分にとってのFIRE後の人間関係の、ひとつの良い選択肢なのかもしれない。


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十数年の経営者生活を経て、現在ほぼFire。「めでたしめでたし」で物語が終わった後の長い人生、どう満喫するかを探求しています。このブログでは、リタイア後の旅や暮らし、健康、思索、資産運用など、気の向くままに記録していきます。同じく「めでたしの後」を歩む人たちとつながりながら、暮らしをより良く、少しずつ充実させていけたら嬉しいです。

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