書籍『お金の不安という幻想』を読んだ。
この著者、田内 学氏の書く本は以前から好きで、『お金の向こうに人がいる』や『君のお金は誰のため』は愛読書になっている。
最新作の本書の詳しい内容は読んでもらうとして、今回は個人的に印象に残ったトピックについて書いてみる。
それは人間関係・人と人との協力を、
「愛」「仲間」「お金」
という視点から分類するという試みだ。
人間関係を「愛」「仲間」「お金」から考える
お金による協力
まず「お金」は分かりやすい。
今の資本主義の世の中では、お金を介することで数多くの他人に手伝ってもらえる。お金を払うことで作ったパンを分けてもらえるし、詰まった排水管を修理してもらうこともできる。
一方で、相手の目的はお金である。だからサービスを受けるにはお金を払う必要があるし、「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉も成り立つ。
お金による協力は利己心から成り立っている。それが神の見えざる手となって社会を形成しているのが、資本主義だ。
愛による協力
お金による協力の反対にあるのが、愛による協力だ。
愛による協力は、目的のない利他である。親が子どもに食事を作ったり、妻が夫の看病をしたりするように、見返りを求めない。
一方で、家族や夫婦など、ごく一部の人にしか手伝ってもらえない。人によっては、愛による協力をしてくれる人が誰一人いない、というケースも珍しくないかもしれない。
仲間による協力
そして、お金と愛のちょうど中間にあるのが、仲間による協力だ。
仲間による協力は、他人同士が同じ目的を共有することで、ひとつのグループとして協力できる関係である。
例えばサッカーでは、11人の他人が「勝利」という利己的な目標のために、チームプレーという利他的な行動をする。選挙や町内会も同様で、自分の環境を守るために、同じ目的を持つ他人と結束する。
仲間による協力は、お金による協力ほど軽薄ではなく、一定のつながりの強さがある。
一方で、愛による協力ほど強い絆で結ばれているわけではないが、その代わりに関係は作りやすい。
FIREした後は、仲間による協力を増やす
FIREした後は、この「仲間による協力」を増やしていくのがいいのではないかと思っている。
先日、「仲間による協力」を強く感じた出来事があった。新しく始めたバドミントンで、ダブルスの大会に出てみたことだ。
初心者講座で知り合ったばかりの人と組んだ急ごしらえのチームだったが、「大会での勝利」という共通目的を持ったことで、仲間として実に楽しいひとときを過ごせた。
大会の後は共通目的こそなくなったものの、練習クラブで会うたびに、友達と知人の間のような、程よい距離感の関係性を築いている。
FIRE後にどうやって人間関係を築くか、という課題を感じる人は多いと思うし、自分もその一人だ。そんな時は、共通の目的を持つという「仲間作り」の視点から始めるのも、ひとつの手かもしれない。
さらに言えば、「お金」「仲間」「愛」は、それぞれきれいに区切られているわけではなく、実際はグラデーションだ。
お金から始まった関係が、だんだん仲間になったり、共通目的を持った仲間が、いつの間にか私利私欲なく相手のためを思う愛に変わったりする。
人間関係を「お金・仲間・愛」の三つの視点から捉え、たくさんの人と関わらなくてもいいから、少数の関わりの中で仲間をつくり、だんだん愛に近づけていく。
これが、自分にとってのFIRE後の人間関係の、ひとつの良い選択肢なのかもしれない。
ランキングも参加してます。参考になる部分がありましたら、ぜひポチっとしていただけると励みになります↓
にほんブログ村

0 件のコメント:
コメントを投稿